プラスチック成形品が使われている事例のうち、医療機器での活用事例を紹介しています。
液剤用の容器の中でも、高いクリーン度合いを求められる点眼容器。ボトル本体はもちろん、キャップや中栓もプラスチックで作られています。
点眼薬の中には、手のひらの温度によって容器内部の圧力がかかることで液剤が垂れてしまうケースがあります。それを防ぐために液が出る量を安定させるノズルもあります。
さらに、防腐剤を含有しなくても無菌状態の薬剤を維持できる点眼薬ボトルも開発されています。
注射器を構成するシリンジとブランジャーにもプラスチック成形品が採用されています。また、使用する時までに薬剤が漏れないよう、シリンジに装着するシリンジキャップにもプラスチック成形品が使われています。
中の薬液を無駄にしない形状のシリンジ・ブランジャーや加熱用のブランジャーなども開発されています。
また、注射器とは少し異なりますが、歯科医がイリゲーション(歯周ポケットに薬剤を流して行う洗浄・殺菌)に使う先端チップも、プラスチックで作られているケースがあります。
先端チップを適度な柔軟性を持つプラスチック樹脂製にすることで、組織を傷つけずに根管治療を進められるメリットがあります。
少量の血液や尿に試薬を垂らし、色などの反応を確認するためのツールも、プラスチック成形品が使われています。
不妊治療や検体検査の分野では、精液を保存・輸送するための専用容器にもプラスチック成形品が活用されています。
一般的な採精容器は一重構造のため外気温の影響を受けやすく、また容器内の体積が大きいことで精子が空気に触れて劣化しやすいという課題がありました。
そこで、精液の保管部分の周囲に空気層を設けることで外気温の影響を受けにくくし、常温でも保温力を保てるよう設計された容器が開発されています。密閉性を高めることで精子が外気に触れにくい構造となっており、採精のしやすさや持ち運びのしやすさにも配慮されています。
血液を吸引する検査装置にも、プラスチック成形品によるチップが使われています。分注チップとピアシングチップの機能を1本で兼ねられるよう、試薬のフィルムに穴をあけてそのまま血液を分注できる形状が採用されているケースがあります。
先端を斜め45度のナイフエッジ形状にすることで穴あけと分注を両立させていますが、この形状は金型設計上、ガスを逃がしやすくすることとバリの発生を防ぐことという相反する要求を同時に満たす必要がある難しい部分でもあります。
医療機器の中には、薬液を混合するための部品「ミキシングチャンバー」と呼ばれるプラスチック成形品も存在します。
医療機器に使われる部品であるため、微細なバリの発生も許されない精密な仕上がりが求められ、金型の製作段階から細心の注意を払って加工されています。
歯科で使われるデンタル機器にも、プラスチック成形品が採用されています。器具内部に水を送るための給水パイプも、その一例です。
ガスアシスト成形という加工方法を用いることで内部を空洞化し、薄肉化と加工サイクルの短縮によるコストダウンを実現している事例もあります。


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