プラスチック成形品が使われている事例のうち、自動車部品での活用事例を紹介しています。
万が一の事故の際、車内への衝撃を少しでも減らすために、金属よりも柔軟性や復元性に優れるプラスチックが1980年代ころから、ポリウレタン樹脂がバンパーに使用されるようになりました。
使われ始めた当初は強度が足りず、軽い接触で割れるうえに修理がしづらく、交換されるケースも多かったようです。
1990年代に入り、PPが採用されるようになってからは、もともとの柔軟性や復元性に加えて、強度の問題も解決できたため、PP製のバンパーが普及してきたのです。
自動車が鉄の塊、という認識はもはや昔。2011年時点で車両1台につき重量の8~10%に当たる量のプラスチックが使われています。
次々と車両の軽量化が推し進められ、エンジン部品やエンジンの周辺機器をプラスチック製品へ替えている事例は事欠きません。
エアインテークやエアクリーナーなどの吸気システム、シリンダーヘッドカバーがプラスチックに置き換わっています。さらに、万が一の事故の際に歩行者のけがの重症化を防ぐために、エンジンルームにプラスチック製のカバーを設置し、防音・防振性能が高まっているケースもあります。
ドイツでは樹脂製エンジンの実用化研究も進められており、将来的には1台の車両に使われるプラスチックがさらに増えることでしょう。
プラスチックが使われているのは、外装やエンジン回りだけではありません。内装部品にも多くのパーツが金属からプラスチックに替わっています。
大型ポケットやドリンクホルダーがあるドアトリムや、運転席周辺の各種操作盤に埋め込まれている様々なスイッチ、サンバイザー、メーター表示部分の基材、後部ドアのインナープレートなど多岐に渡ります。
特にスイッチ類は多色成形で作られていることも多く、内部のデザイン性を保ちながら車両の軽量化を実現できています。
多色成形(2色成形)とは?
メリット・デメリット、対象分野をチェック
自動車産業は、効率性と機能性を追求する中で、金属からプラスチックへの置き換えが進んでいます。プラスチックはその軽量性、耐久性、そして加工のしやすさから、自動車の内外装部品、エンジン周辺部品、電装部品などに幅広く活用されています。この記事では、自動車に使用されるプラスチックの種類、特徴、そして具体的な用途について、詳細に解説します。
ポリプロピレンは、自動車の製造において広く使用されているプラスチックの一つです。その特性として、軽量性、耐薬品性、耐熱性、成形性が挙げられます。この素材は、特に外装部品でその実力を発揮しています。例えば、バンパーフェイシアやドアパネル、トランクルームの内装材などに使用されています。また、エンジンルームの部品や電装部品にも用いられ、軽量化とコスト削減に寄与しています。
ポリウレタンは、自動車の内装および快適性を向上させる部品に多く使われています。シートやヘッドレスト、防音材、さらに空気濾過システムの部品として利用されています。この素材は柔軟性と耐久性を持ちながら、軽量であるため、車両の性能向上と燃費改善に貢献しています。また、バンパーやタイヤの一部にも使用され、耐衝撃性が求められる用途で特に有効です。
ポリ塩化ビニルは、その耐水性と耐薬品性から、自動車の内外装において重要な役割を果たしています。ドアパネル、ケーブル、ダッシュボードなど、多岐にわたる部品に利用されています。また、アンダーボディ保護のためのコーティング材としても活躍しており、特に腐食に対する耐性が求められる部品に適しています。
ABS樹脂は、優れた成形性と耐衝撃性を持ち、特に内装部品で多く採用されています。ダッシュボードトリムや電子機器のエンクロージャー、ホイールキャップなど、外観が重視される部品に適しています。また、ABS樹脂は塗装やめっきが容易であるため、デザイン性を求められる部品にも適しています。
ポリアミド、一般的にはナイロンとして知られるこの素材は、耐摩耗性と高い耐熱性が特徴です。そのため、エンジンルーム内の部品や、ギア、燃料キャップ、タイミングベルトなどの重要部品に採用されています。この素材の強靭さは、車両の信頼性と安全性を向上させています。
ポリカーボネートは、光学的透明性と高い耐衝撃性を備えた素材です。このため、ヘッドライトやテールライトのレンズ、サンルーフ、ウィンドウシールドなどに使用されています。軽量でありながら強度が高いため、これらの部品の耐久性と性能を向上させる役割を担っています。
ポリオキシメチレンは、その高い剛性と耐摩耗性から、精密機械部品に使用されます。特にギア、ベアリング、燃料システムの部品、ロック機構やファスナーなどの小型部品でその能力を発揮しています。この素材は、低摩擦性を持つため、可動部品に適しています。
ポリエチレンは、加工が容易で安価であることから、自動車部品に多く使用されています。例えば、燃料タンク、液体容器、配線の絶縁、保護カバーなどがその例です。また、高密度ポリエチレン(HDPE)は、剛性と反り耐性を兼ね備えており、燃料タンクやインレットパイプなどの部品に採用されています。
国内外すべての事業所で国際品質保証規格ISO9001:2015の認証を取得。また、自動車産業向け(ISO/TS16949)、医療機器向け(ISO13485)のISO品質マネジメント規格認証を別で取得しており、厳格な品質管理で金型作成・部品成形に対応します。
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