インサート成形とは、金型の中に、インサートと呼ばれる金属や別の素材をあらかじめ配置し、その上から溶かしたプラスチックを注入して一体化させる成形技術です。これにより、異なる材料を組み合わせた複合的な部品を効率的に作り出せます。
例えば、金属の強度とプラスチックの軽さを両立させたい場合は、インサート成形で部品を製造するのは便利です。自動車や電子機器など、強度と軽量性が同時に求められる分野では特に使用されています。
インサート成形の工程を通じて、インサートは周りのプラスチックにしっかり固定されるため、組み立ての手間を減らし、製品の一体感と精度を高められるのが大きな特徴です。
インサート成形を外部に依頼する際、まず注目したいのが金型の設計から成形品の製造まで一貫して行っているかどうかです。
同じ会社で金型の設計から成形品の製造まで依頼できれば、各工程間の連携は取りやすくなります。例えば、金型の修正が必要になった場合、金型の製造元と成形品の製造元それぞれにやり取りしなくてよく、新しい金型ができてもすぐ成形品の製造に導入できます。
こういうふうにワンストップで対応できるパートナー企業がいれば、コスト面でも時間面でも無駄をできるだけ抑え、最終的にリードタイムの短縮や仕様ミスのリスク低減まで実現できます。
金型の設計から成形品の製造をまとめて対応できる会社を見つけましたら、その会社の技術力と実績を確認しましょう。
自分が想定している部品の形状や性能に近い事例を持っている会社は、ノウハウが豊富なので安心です。また、最新のインサート成形機や温度制御装置を備えているかどうかも重要です。設備が充実しているほど、精度の高い製品を効率的に生産できる可能性が高まります。
さらに、扱える材料の幅や特殊な樹脂への対応力もチェックしましょう。インサート成形では、樹脂と金属を組み合わせるだけでなく、複数の素材を組み合わせる場合もあります。自社の対応してもらいたい材料を問題なく成形できるか、事前に確認することが大切です。
最後に、見積もり金額や納期、担当者のコミュニケーションのしやすさといった要素も比較してみてください。特に、金型設計に関して途中で変更や修正が必要になるケースもあるため、そこに素早く柔軟に対応できるかがポイントです。こうした総合的な観点から、実績と技術力に加え、金型から成形品までワンストップでサポートしてくれる会社を選ぶと、製品の品質向上やコスト削減につながるでしょう。
インサート成形の製品が使用されている業界としては、自動車関連の部品(インシュレーター・コネクタ・センターパネル・レバー・ハンドル)、板金部品、ナット、ネジなどが挙げられます。その他、歯医者で使われる研磨剤(シリコンポイント)や羽根つきファンなどにも用いられています。
EVやハイブリッド車で、モーターを駆動するために必要な電力変換装置のインバーターで、その接続に使用される端子台をインサート成形で製造した事例です。金属端子と樹脂が一体化することで、振動・衝撃に強い構造になり、接触不良や断線リスクを低減。射出時に樹脂が金属端子の隙間にも流れ込むことによって、高い固定力が得られ、長期使用にも耐えられます。
乾燥機能がある洗濯機に搭載される乾燥フィルターをインサート成形で製造した事例です。樹脂のフレームと不織布またはポリエステルのメッシュを一体化させることによって、フィルターのテンションが均一に保たれ、目詰まりしにくいようになっています。接着剤を使用するタイプのフィルターより丈夫で耐熱性も高く、劣化しにくいです。
カテーテルをインサート成形した事例です。X線やMRIなどの画像診断で、よりカテーテルの先端位置を確認しやすくするために、金属をカテーテルに埋め込むことがあります。インサート成形のカテーテルはより高い一体性と密着性を実現。使用中に金属パーツが抜け落ちたりズレたりするリスクを低減でき、安全性が向上します。
この技術の最大の利点は、製品の強度と耐久性を高められることです。例えば、金属部品をインサートとして使うと、樹脂だけでは難しい剛性や熱耐性を実現しやすくなります。
また、生産工程の省力化も見逃せません。後からネジや金属パーツを組み込む作業が不要になるため、個別で製造するよりコストの削減と納期の短縮ができます。
さらに、金型が設計できれば、複雑な形状を作り込んだり、多機能化したりすることが容易になり、設計上の自由度が高いことも大きなメリットです。これらの特徴が、車載部品や医療機器など、精度と信頼性が要求される分野で広く採用される理由といえます。
インサート成形で考慮すべき課題も存在します。まずは、異なる材料を組み合わせることで発生する成形不良のリスク。金属とプラスチックでは熱膨張率が異なるため、温度変化にともなう膨張・収縮の差によって、成形品にひび割れなどが発生する場合があります。
また、インサートを金型内できちんと位置決めするための精度が求められるのも難点です。インサートが少しずれるだけで、仕上がりの寸法精度が狂う恐れがあります。
さらに、特別な金型設計が必要な場合、初期投資も高額になりがちなので、小ロットや短期の製造を考えている場合は、他の成形方法とコストや品質を比較してから検討するのがおすすめです。
ほとんどの熱可塑性樹脂は、インサート成形に対応できますが、製品の用途や耐久性のニーズによって選択されます。いずれの素材を選ぶ場合でも、金属との熱膨張率の差や接着性の問題を踏まえ、適切な射出条件や金型設計を行うことが重要です。
高い機械的強度や耐摩耗性を誇り、精密部品向き
軽量でありながら強度が高く、自動車や家電など幅広い分野で活躍
成形性が良く、見た目の仕上がりがきれいなため、外装部品でよく使用
優れる耐熱性と機械的強度で、自動車部品や医療機器で多く使用
国内外すべての事業所で国際品質保証規格ISO9001:2015の認証を取得。また、自動車産業向け(ISO/TS16949)、医療機器向け(ISO13485)のISO品質マネジメント規格認証を別で取得しており、厳格な品質管理で金型作成・部品成形に対応します。
創設(1970)以来、生活雑貨や家電製品などの金型を手がけてきたノウハウで、熱可塑性樹脂金型、熱硬化性樹脂金型、ダイカスト金型のいずれにも対応可能。金型品質とコストのバランスを考慮しつつ提案してくれます。
化粧品・食品容器金型製造を手がけて50年。「職人×多能工」の考え方で、機能とデザインを両立させた化粧品容器の金型を製作しています。製品のイメージがあれば、図面がなくても発注できます。