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医療機器の樹脂部品開発:受託企業の選び方

外部の企業へ製造を委託する際、単に図面通りの部品を作れるかという点に留まらず、医療機器特有の高度な管理要件を満たせるかが問われます。ここでは、候補となる企業を見極めるために不可欠な4つの確認事項を解説しましょう。

医療機器の樹脂成形・金型製作を
外部委託する際の4つのチェックポイント

外部の企業へ製造を委託する際、単に図面通りの部品を作れるかという点に留まらず、医療機器特有の高度な管理要件を満たせるかが問われます。ここでは、候補となる企業を見極めるために不可欠な4つの確認事項を解説します。

ISO13485認証・医療機器関連の業許可の有無

委託先の品質管理体制を客観的に評価する指標として、ISO13485の認証取得状況が挙げられます。ここで注意したいのは「認証取得」と「準拠」の違いです。
認証取得が第三者機関の厳格な審査を通過した証明であるのに対し、準拠は規格を参考に独自の体制を整えた状態を指すため、外部への客観的な証明力に差が生じる点に注意が必要です。
また、委託元となる企業が「医療機器製造販売業」などの許可を持たない場合、製品を市場に出すための法的な責任区分が課題となります。その際、委託先の企業が「医療機器製造業登録」や「第二種医療機器製造販売業許可」を保有していれば、薬事申請などの事務手続きから市場への出荷判定まで、法的な責任を適切に分担しながら製品化のサポートを受けることが可能になります。

クリーンルーム設備の完備

医療機器に使用される樹脂部品は、製造工程における微細な異物混入や汚染を徹底的に防がなければなりません。そのため、指定された清浄度が維持されるクリーンルーム内での成形環境が必須です。一般的に、ISOクラス7やクラス8といった基準を満たす環境が求められます。単に部屋を区切るだけでなく、高性能な空調管理や、室内を陽圧に保つことで外部からの塵や埃の侵入を防ぐ設計、さらには作業者の入退室時におけるエアシャワーの徹底など、設備と運用ルールの両面で衛生管理が構築されているかを確認することが、品質トラブルを未然に防ぐ要件となるでしょう。

医療グレード素材(生体適合性樹脂)への対応実績

医療機器には、用途に応じて特殊な高機能樹脂が用いられます。これらの素材は一般的なプラスチックに比べて成形時の温度管理や金型設計の難易度が高く、委託先のノウハウが完成品の精度を大きく左右します。
また、透明性と耐衝撃性に優れる医療用ポリカーボネート(PC)は、事前の乾燥処理を怠ると加水分解を起こして脆くなる特性を持つ点も考慮しなければなりません。さらに、柔軟なシリコーンゴムを用いた成形では、LSR(液状シリコーンゴム)を用いるための専用射出設備が必要となります。

トレーサビリティとバリデーション(IQ/OQ/PQ)対応

医療機器の製造においては、「いつ、誰が、どの材料を使って、どのような条件で作ったか」を遡って確認できるトレーサビリティの確保が不可欠な要件です。
これに加えて、製造プロセス自体が常に一定の品質を再現できるかを確認する「バリデーション」の実施能力が問われます。バリデーションは主に3つの段階で実施されるのが一般的です。設備やソフトウェアが仕様通りに正しく設置されているかを検証する「IQ(据付時適格性評価)」、圧力や温度などのパラメータの上下限という厳しい条件でも正常に稼働するかを確認する「OQ(運転時適格性評価)」、そして実際の生産条件下で複数ロットを製造し、製品の品質安定性を証明する「PQ(性能適格性評価)」にあたります。これらの厳格な文書管理と検証プロセスを適切に遂行できる管理体制が、安全な製品供給を支える土台となります。

開発・試作から「一括受託(ワンストップ)」
を選ぶメリット

製品開発において、全工程を一社で引き受ける「一括受託(ワンストップ対応)」を選択することには、以下のような多大な利点があります。

金型設計から量産までの一貫体制によるコストと手間の削減

製品の開発コストや品質の安定性は、初期の設計段階でその大半が決定づけられます。一括受託企業であれば、試作の段階から量産時の成形条件や歩留まりを見据えた金型の設計提案(VA/VE提案)が行われるでしょう。工程ごとに別の業者を挟むと、試作段階で作成した金型のデータが量産用の金型設計にスムーズに引き継がれず、再設計のコストや工数が発生しがちです。設計から量産までを一つの企業内で完結させることで、試作段階で得られた課題や成形時の微細な調整内容が的確にフィードバックされ、大幅なトータルコストの削減と開発担当者の負担軽減につながります。

後工程(組み立て・滅菌・パッケージング)への対応

医療機器の製造は、樹脂部品を成形して終わりではありません。他の構成部品との精緻な組み立て、液剤などの充填、厳格な衛生基準に基づく滅菌処理、そして専用のパッケージングに至るまで、多岐にわたる後工程が存在します。一括受託に対応する企業の中には、成形だけでなくキットの組み立てやオートクレーブ(高圧蒸気滅菌)、ガンマ線滅菌の手配までを包括して引き受ける体制を持つところも少なくありません。これにより、委託元の企業は複数業者の個別管理に伴う業務負荷を軽減でき、品質保証の一貫性を担保したまま完成品を受け取ることが可能になります。

情報漏洩リスクの低減とリードタイムの短縮

革新的な医療機器の開発において、図面や素材配合などの機密情報の保護は事業戦略上きわめて重要です。複数の業者に仕様書を開示することは、それだけ情報漏洩のリスクを高める結果を招きます。製造を一社に集約することで、機密保持の範囲を最小限に留めることができるでしょう。さらに、業者間でのサンプルの輸送や確認待ちの時間が削減されるため、開発着手から市場投入までのリードタイムの大幅な短縮が見込めます。設計変更が生じた際にも、社内の一貫体制であれば各部門間の連携が素早く行われ、臨機応変な開発手順を実現できるのです。

試作相談前に準備・整理しておくべき5つの情報

委託先との打ち合わせをスムーズに進め、精度の高い見積もりや実現可能なスケジュールを引き出すためには、事前の準備が鍵となります。ここでは、相談を行う前に社内で整理しておくべき重要な情報を解説します。

製品の用途と医療機器クラス

発する製品が体内に挿入されるインプラント用途なのか、体外で使用される検査キットのハウジングなのかといった用途を明確にします。同時に、医療機器としてのクラス分類(クラスⅠ〜Ⅳ)を特定しておくことが求められます。これにより、適用されるべき法規制や、要求される生体適合性の試験レベル、さらにはクリーンルームの清浄度基準が自ずと決定されるためです。

要求される材料と想定している滅菌方法

製品に対してどのような物理的要件(強度、耐摩耗性、透明性、耐薬品性など)があるかを整理します。これに加えて、製品化後にどのような滅菌処理を施す予定かを伝達することが不可欠です。高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)、ガンマ線滅菌、エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌など、滅菌方法によっては材料が加水分解を起こしたり、白化・変形したりする恐れがあります。こうした情報は、PEEKや医療用PCなど適切な樹脂を選定する際の基盤となります。

試作の目的と必要数量

その試作が、デザインやサイズ感を確認するための「形状確認」なのか、実際の環境で動かす「機能テスト」のためなのか、あるいは「臨床試験」に用いるためのものなのかによって、最適なアプローチが変わります。必要数量が数個から数十個であれば切削加工が適している場合もあります。しかし、数百個以上の試作や実際の量産と同じ条件での検証が必要な場合は、簡易金型(試作型)を用いた射出成形が選ばれるなど、加工方法の決定に直結する要素です。

試作型から量産用本型への移行計画

将来的に市場でどの程度の生産数を見込んでいるかを共有します。試作段階で数十個しか作らない場合と、数百万個を量産する場合とでは、金型に使用する鋼材の選定(加工しやすいアルミ材か、耐久性のある特殊鋼材か)や、一度に複数個を作る「多数個取り」の設計思想が全く異なります。将来的な量産計画をあらかじめ提示しておくことで、試作金型のデータを本型へスムーズに移行するための設計上の工夫を盛り込むことが可能になります。

医療機器の樹脂成形・金型に強い代表的な企業事例

ここでは、医療分野において特色ある技術力を持ち、開発から量産までを牽引する代表的な企業の事例を紹介します。それぞれの企業が持つ得意領域を比較することで、自社のニーズに合致した業者のイメージが掴みやすくなるはずです。

京都プラテック

京都プラテックは、設計・モデリングから金型製作、成形、二次加工、基板実装、完成組立までを網羅する強固な社内一貫生産体制を持つ企業です。医療機器分野のみならず、自動車や家電など幅広い産業での実績を持ち、多様な成形ノウハウを蓄積しています。日本国内の本社工場を起点として、中国、タイ、メキシコにグローバル生産拠点を構えている点も特徴です。各工場での準クリーンルーム化や日本からの技術指導を通じて、徹底した品質管理と安定供給を実現しています。インサート成形や多色成形、ヒート&クール成形といった特殊技術にも対応しており、コスト競争力と高い品質を両立させる量産体制が広く評価されています。
┗https://www.pla-gata.net/pr/interview.html

ベテル

ベテルは、主に歯科医療機器や外科用手術器具など、ヘルスケア分野における精密プラスチック成形を得意とする企業です。独自の開発技術を活かし、先端内径がわずか0.4mmの微細な加工や、特定の角度を設けたチップの成形など、極小・微細・細長部品の製造において独自の技術を有しています。15tから130tまでの小型成形機を多数保有しており、精巧で繊細なパーツの製造に強みを持ちます。金型の設計から成形、組み立てまで自社で一貫対応できる体制を整え、現場の意向を汲み取ったきめ細やかな商品企画と、熟練職人による精度測定を取り入れた厳格な品質保証が特徴です。

親和工業

親和工業は、医療機器製造業登録および第二種医療機器製造販売業許可を取得し、ISO13485の認証も有する医療用プラスチック成形の専門企業です。クラス10,000以下の厳格なクリーンルーム環境と医療専用の最新鋭成形機を完備しています。遺伝子解析用途などで求められるDNase-free、RNase-freeといった高い衛生基準(DNAフリー保証)にリアルタイムPCRシステムを用いて対応可能な点も強みです。特級プラスチック成形技能士が複数在籍し、製品の開発・設計段階から積極的なVA/VE提案を行うことで、量産性とコスト最適化を両立させます。キット組み立てや液剤充填、滅菌の手配までを含めた包括的なワンストップ対応も特徴の一つです。

タカシン

タカシンは、複数の電子機器メーカーから製造を受託するEMS(電子機器製造受託サービス)企業でありながら、プラスチック成形や金型設計、精密な金属加工までを網羅する総合力が特徴の企業です。医療機器製造においてはISO13485を、自動車産業向けにはIATF16949を取得しており、国際規格に準拠した厳格な品質マネジメントを展開しています。成形工場は24時間稼働体制を敷いており、急な設計変更や大規模な量産にも柔軟な対応が可能です。また、ミクロン単位の精密な加工要求に応える充実した機械加工設備と熟練の測定技術者を抱え、医療処置具やコネクタ部品の製造において高いコストパフォーマンスと信頼性を発揮します。

相談から量産・納品までの一般的なステップ

医療機器向けの樹脂部品を一括受託企業に依頼する場合、法規制の順守と品質を担保するための緻密なステップを踏むことになります。全体像を把握しておくことで、プロジェクトの進行が円滑になるでしょう。
まず、問い合わせと要件定義の段階から始まります。製品の用途やターゲットコストなどの初期要件をすり合わせ、機密保持契約(NDA)を締結します。
次に、製品設計サポートおよび金型設計へと進みます。委託元の製品データに基づき流動解析をシミュレーションし、この段階でヒケ(凹み)や反りを防ぐための形状最適化が図られます。
設計が固まると、試作型製作と試作成形が行われます。ここで寸法や機能性、生体適合性の試験に向けたサンプルの最終確認を実施します。試作での検証結果を反映した後、量産用本型の製作へと移行するとともに、並行してバリデーションプロセスが厳格に実施される流れです。
バリデーションが完了すると、クリーンルーム等の規定された環境下で射出成形による量産が開始されます。成形後は、三次元測定機や測定顕微鏡を用いた緻密な工程検査が行われます。最後に、必要に応じて部品の組み立て、クリーン環境でのパッケージング、各種滅菌処理の手配が行われ、トレーサビリティを証明する試験成績表などの品質保証文書とともに納品されます。

まとめ:自社の製品要件に合ったパートナー選びを

医療機器向け樹脂部品の開発と量産化は、高度なプラスチック加工技術と厳格な品質管理体制の両輪が揃って初めて成立する難易度の高いプロジェクトです。特殊な生体適合性樹脂の選定から緻密な金型設計、プロセスの妥当性を証明するバリデーション、そして最終的な滅菌やパッケージングに至るまで、すべての工程は複雑に連動しています。
そのため、単に図面を渡して加工を依頼する外注先としてではなく、開発の初期段階から法規制やVA/VEの観点で的確な助言を与えてくれるビジネスパートナーを見つけることが極めて重要です。

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引用元:京都プラテック公式HP
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事故の許されない業界を支える
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国内外すべての事業所で国際品質保証規格ISO9001:2015の認証を取得。また、自動車産業向け(ISO/TS16949)、医療機器向け(ISO13485)のISO品質マネジメント規格認証を別で取得しており、全国エリア及び海外にも厳格な品質管理で金型作成・部品成形に対応します。

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引用元:清水金型製作所公式HP
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食品容器や化粧品用の
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龍江精工

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引用元:龍江精工公式HP
https://www.tatsue.com/company/equipment/

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化粧品・食品容器金型製造を手がけて50年。「職人×多能工」の考え方で、機能とデザインを両立させた化粧品容器の金型を製作しています。製品のイメージがあれば、図面がなくても発注できます。

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